新年のご挨拶

配信日: 2019-01-11 16:14:45


皆さま、あけましておめでとうございます。


本年もよろしくお願い申し上げます。


歌舞伎の楽しさを
張り切って発信していきますね!


さて、新春1月のイヤホンガイドは、新橋演舞場の市川海老蔵さんを中心とする公演にてつとめます。「幡髄長兵衛」「俊寛」の2演目を担当します。


きょうは「俊寛」の思い出をちょっと。


ぼくが一番敬愛・尊敬する役者さんは中村吉右衛門さんですが、「俊寛」は吉右衛門さん屈指の当たり役です。


1996年には、全米各地を、この演目で巡業なさいました。


そのツアーの後半、サンフランシスコ近くの学園都市バークリーと、ロスアンゼルズ、2都市に、ぼくも公演を見に行きました。


主人公の俊寛は高僧ですが、ときの権力者・平清盛への反乱をくわだて、その計画がとん挫し、南海の孤島へ反乱仲間と共に島流しになります。


その島での出来事が今回上演されるくだりですが、最終的に俊寛ひとりが島に残り、流罪がとけて本土へ帰る仲間たちの船を、島の崖の上で、最後まで見送っている・・・という胸にせまるラストシーンです。


サンフランシスコの空港に着いて、わくわくしながらバークリー入り。


一夜あけて、さぁいよいよ、芝居を見に行きました。バークリーの大学内のホールが会場です。


楽屋で吉右衛門さんに「来ました!」と挨拶も出来て、熱演に見入り、いつも日本でやっているごとく「はりま屋ぁ!」と、声も何度も掛けました。


そして、さぁラシトシーンだ!


え????
わぁぁ!!!!! 


ふだんの日本でのこの場面では見ることのない、猛烈な高波が、崖の上まで押し寄せてきました。


茫然と船を見送る俊寛が、微動だにせぬまま、真っ青な波の布に見え隠れします。


すごいなぁ、さすが、訪米公演とあって、ダイナミックな演出を特別にほどこしたんだなぁ、と感動しきりに見入っていて、ふとすぐ隣の席の松竹のスタッフさんに目をやると・・・


苦虫をかみつぶしたような「やばいなぁ」という表情なのです。今にも頭をかかえこみそうな。


ん?てことは・・・と思った次の瞬間に俊寛が(笑)

「ドア閉めろ・・・!」


吉右衛門さんの「素(す)」の声で、崖の上で微動だにせぬまま、表情ひとつ変えぬまま、つぶやくでもなく怒鳴るでもなく、なんともいえぬ一言を発するじゃありませんか。



つまり、舞台脇の大道具搬入のためのドアが、完全に閉じていないから、外からの隙間風が舞台まで吹き込んでいる、、と思われたんですね。



実際は空調の風圧が原因だったようですが、いずれにしても思わぬトラブルだった、、、ところが、見ているこちらにとっては、なんて劇的なんだ!と心がたかぶるような光景だった。


ケガの功名と申しましょうか。そんなハプニングがありました。


さぞかし吉右衛門さんは、あせったでしょうね(笑)閉めろ!と声に出さずにはいられなかったんですね。アメリカの俊寛のなつかしい思い出です。


本日も最後までお付き合い頂きありがとうございました。


また次回のメルマガも楽しみにしていてください。


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