歌舞伎ソムリエのマンデー通信 14

配信日: 2019-09-30 12:42:15


みなさまこんにちは。
いよいよ秋も本番をむかえますね。



先日、東京・向島の百花園に行ってまいりました。ここは、江戸時代につくられた、和歌や俳句の世界でもおなじみの「日本の草花をめでる」がコンセプトの、いわばテーマパークの走り、さきがけともいえる施設で、現在は東京都が管理しています。




園内の和室で開かれた勉強会に参加させていただくことで、久しぶりの再訪が叶いました。




百花園は、西洋式の、幾何学的に、デザイン、造形された花壇や庭園とはちがって、自然の野山をそのまま再現したようなつくりになっていて、お庭や公園を周遊する、、




というよりは、郊外、文学の世界でいえば武蔵野とか、もっと古い万葉の道でしょうか、そういう小径を、あたかも自分が歌人や俳人にでもなったような気持ちで、そぞろ歩く趣きのお庭です。




芭蕉が詠んだ
「よく見れば なづなほころぶ 垣根かな」




という可愛らしい俳句がありますが、まさにそれで、足元や頭上の、生い茂る草のかたわらや木々の隅々に、よく目をこらしてみると、そこにひっそりと、こんなきれいな花が咲いているんだなぁ、わぁ、かわいらしい花びらのかたちだなぁ、と「気づかされる」たのしさ、よろこび。




その意味では自分のアンテナや観察眼の感度がためされる空間だなぁ、と思いました。




歩いていれば美しい花々が、自然に目に飛び込んでくるようにレイアウトされた洋風の公園とは、対照的な美意識がつらぬかれているわけです。



もう一つ興味深かったのは、この百花園、太平洋戦争の東京大空襲で、いったんは完全に消滅しました。



でも、どこにどんな草花や木があったか、池のかたちはどうであったか、など資料が残っていたので、それをもとに、戦後の昭和24年に、往時のすがたそのままに再現、再開場がかなって、現在に至っています。



ポーランドのワルシャワやドイツのドレスデンは、第二次大戦の空襲・空爆で街並みが大破しましたが、やはり当時の建物のつくり、外観を忠実に再現するかたちで、戦後復興しています。



古きよきヨーロッパの街の美しい雰囲気をそのまま再現することで、もう二度と戦争はおこさないぞ、と市民がこころに誓っている。



そうやって平和への意思を自分たちに叩き込んでいるわけですね。



それに通じるものが、百花園にもあるなぁ、とつよく思いました。そしてこのことを、もっと発信すればいいのになぁ、発信してほしいなぁ、とも思いました。



ちなみに、百花園の2年後、昭和26年に、おなじく空襲で焼失した歌舞伎座も、再建・再開場をはたしています。



大都会の一画に突如現れる、江戸時代そのままの草花の楽園ですから、ここにはチョウチョやハチ、池のアメンボなど、さまざまな虫たちもつどっています。



池ではカルガモが子育てにも励むそうです。コンクリートのジャングルのなかに、ここだけぽつん、と和の草花が集中的にはえているので、虫たちには「砂漠のオアシス」のように見えているんだろうなぁ。




芭蕉の句じゃないけど、蝶が花の蜜を吸っているところを、ぼくも生まれて初めて目をこらして「よく見ました」。



吸っている最中も羽が、ゆっくりゆっくり、「ひら、ひら、、、」と動き続けているんですね。今まで知らなかった。



あたらしいことを一つ学びました。のどが渇きに渇いたときって、ぼくたちも、水や飲み物を「ごくっごくっ」と一心不乱に飲みますよね。



チョウチョも同じだなぁ、ひらっ、ひらっ、ごくっ、ごくっ、、、夢中で蜜を吸っているすがたが、あまりにもいとしくて、不意に涙がこみあげました。



「ぼくらはみんな生きている~」のあの歌がまさにこれだなぁ、と感動しました。ぜひ皆さまも一度、足を運ばれてみてくださいね。


向島百花園
[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%91%E5%B3%B6%E7%99%BE%E8%8A%B1%E5%9C%92]


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